グリーフ(悲嘆)とは
大切な人を亡くした時におきるさまざまな心理的・身体的・社会的な反応をグリーフ(悲嘆)といいます。悲嘆はさまざまな喪失体験から生じるもので、家族や友人といった人だけに限らず、その人にとって大切なものすべてにおよびます。
喪失体験としては次のものが挙げられます。
✔️大切な人の喪失:死別、離別など
✔️所有物の喪失:財産、仕事、ペット、思い出など
✔️環境の喪失:転居、転勤、転校など
✔️役割の喪失:子どもの自立、定年退職など
✔️自尊心の喪失:名誉、プライド、プライバシーが保たれないことなど
✔️身体の喪失:病気、ケガ、老化現象など
✔️社会生活の安全:安全の喪失
死別に対する悲嘆反応
死別による悲嘆反応は誰しも経験する正常な反応です。しかしその表れ方や感じ方、頻度や強弱は人によってさまざまです。ここでは一般的な症状をお伝えします。
抑うつ、絶望、悲しみ、落胆、苦悩
不安、恐怖、畏怖
罪悪感、罪責感、自責の念
怒り、敵意、いらだち
無快感(楽しみの喪失)
孤独感、思慕、切望、あこがれ
ショック、無感覚
故人を想うことへの没頭
侵入的反すう
故人への現存感
抑圧、否認
自尊心の低下
自己非難
無力感、絶望感
非現実感
記憶力や集中力の低下
動揺、緊張、落ち着かない
疲労
過活動
探索行動
涙を流す、むせび泣く、泣き叫ぶ
社会的引きこもり
食欲不振
睡眠障害
活力の喪失、消耗
身体愁訴
故人の症状に類似した身体愁訴
免疫機能や内分泌機能の変化
病気への罹りやすさ
複雑化する悲嘆
死別後に悲嘆反応は誰しもが経験する反応です。しかし上記のような通常な悲嘆反応ではなく、持続期間や悲嘆の開始時期、反応の強さが異なる場合など複雑化することがあります。複雑化すると精神的だけではなく身体的不調もさらに強めることになり、日常生活に支障をきたします。複雑な悲嘆の分類は大きくわけて次の4つに分類されます。
*長期化した悲嘆
悲嘆の持続が極端に長く、回復の兆しが見られない場合。自分でも悲嘆に終わりがないと感じていて、日常生活への支障も大きくでている状態。また亡き人への愛憎の入り混じった感情があり、罪責感や怒りの感情が強い傾向にあります。
*遅延化した悲嘆
死別後は悲嘆が現れず、数ヶ月、数年後になって悲嘆が遅れて現れる場合。死別直後は悲嘆を感じる余裕が持てず、表面的にはうまく適応しているように見えてしまいます。しかし時間が経ち、離婚や子どもの自立、本人の病気や他の死別など人生の転換期などをきっかけに悲しみなどが突如現れてきます。
*過剰な悲嘆
過剰に強い悲嘆反応を示す場合。悲嘆反応だと意識していても、その症状や行動が自分でコントロールできない状態。時としてうつ病やパニック発作、アルコールや薬物などの物質乱用、躁的な行動、PTSD(外傷後ストレス障害)などを伴うこともあります。
*抑圧された悲嘆
悲嘆の感情を出さず、表面的にはうまく適応しているように見える。他者に助けを求めないことや、他の人が死別について話そうとするのを極端に嫌がったりやめさせようとする傾向が見られます。また亡き人を思い出してしまうと過剰に不安になり、怒りや緊張が強まる時もあります。
複雑な悲嘆を発見する手がかり
複雑な悲嘆は、ご自身の性格、亡くなった人の死因や状況、社会的なサポートの有無などの影響などさまざまな影響が考えられます。悲嘆反応は抑うつ症状が伴うことが非常に多く、他の精神疾患が続発、合併症状として現れることがあります。
*悲嘆が現在まで解決されていない
死別から数年を経過しても泣きたくなる気持ちが絶えず生じ、悲嘆の感情の変化が見られない場合に当てはまります。「記念日反応」など誰でも悲しみが強まりますが、年数を経過してもまったく和らぐことがない場合などが挙げられます。
*ささいな出来事に過剰な悲嘆が生じる
自分が経験した死別と類似の体験を見聞きした時などに、急に混乱した反応を示す場合が該当します。
*亡き人へのこだわりが非常に強い
亡き人の部屋を何年過ぎてもそのままにしていたり、生前の亡き人と同じ身体症状を持つこと、亡き人の誕生日などに治療に行くなど、無理な同一化を図ろうとする場合が当てはまります。
*亡き人へ過剰に距離を取ろうとする
いっぽうで亡き人の法事や友人など、亡き人に関係する活動を急に避ける場合をさします。
*その他の精神症状が併発する
うつ傾向、罪悪感、自尊心の低下、自傷行為など自己破壊的な行動が見られる場合もあります。
これらの症状がある方、気分が晴れない、生きるのがしんどい・・・・
そういった方はまずはお話しをお聴かせください。
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